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派遣の仕組み

派遣社員は誰に雇われているのか
すっかり就労形態の一つとして定着した人材派遣ですが、派遣で働く、というのは、
正社員とどのような違いがあるのでしょうか。
また派遣のシステムとは具体的にどうなっているのか見てみます。

人材派遣は法律上は「労働者派遣」と呼ばれる雇用形態です。
派遣で働く人は、まず労働者派遣業務に携わっている事業主、
つまり派遣元に雇われます。
事業主に雇われるのは正社員も同じですが、正社員の場合は
雇われた先の会社の業務を、雇い主の指揮下で行うのが普通です。
人材派遣の場合は、事業主に雇われても、その事業主の業務を行うことはせず、
派遣元が別途労働者派遣契約をとりかわした他の事業主のもとで働くことになります。
人材派遣というスタイルで働く人を実際に雇用するのは派遣元ですが、
事実上の仕事を指揮、命令するのは派遣先の事業主となるわけです。
正社員やアルバイトの場合は、雇う人、雇われる人の2者であるところが、
派遣の場合は3者となった雇用形態になります。



派遣社員の権利はどうやって守られるのか
このように3者が関わる雇用形態となると、雇われる側にとって気になるのは
給与や福利厚生、保険など、雇用の基本にかかわる部分について、
どちらの事業主が責任をもつのか、という点です。
これについては、労働関係法により、原則的には
実質的な勤め先である勤務先の事業主からではなく、
雇用関係を結んだ人材派遣会社によって管理されますが、すべてではありません。
気をつけたい点として、勤務期間中の就業時間については派遣先の管理となるものの、
時間外労働や休日出勤などについては派遣元の責任となります。
このような労働時間についての全体的なレイアウトに関しては、
派遣元の事業主は法に則って、協定の締結や届け出をする義務があります。
また、派遣先での労働者の待遇その他の条件が
労働基準法や労働安全基準法に違反した場合、また違反するとわかっていて
その派遣先と契約し、労働者を派遣した場合は派遣元の事業主も処罰対象となります。

人材派遣はこのように、事業主の直接の雇用でないことから、
労働者保護のための法律が存在しています。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
というものです。(リンク先は厚生労働省のホームページ)
通称「労働者派遣法」と呼ばれています。
この法律は、もともとは労働力のバランスをとることや
派遣で働く人の条件の整備や安定を目的として1986年に施行されました。
数度改訂がおこなわれており、最近では2006年の3月にも、
派遣労働者のための保険加入や衛生状況、
派遣受け入れ期間などについての改正がありました。



労働者派遣事業について
人材派遣事業は法律上でみると2種類に分かれます。
一つは一般労働者派遣事業で、登録制、臨時、日雇いといった
短期の派遣を主に扱う事業者を指します。
いわゆる登録型派遣で、登録しても必ず仕事がふられるとは限りません。
自社の登録人数が多いようにみせるため、登録のみをして仕事を紹介することが一切ない、
「サクラ登録」とよばれる方法をとる派遣業者もあるようなので、
登録制の派遣で働くのであれば、複数の業者に登録をしておいた方が安心です。
この事業は許可制で、国から許可をもらわなければなりません。
許可番号の頭に「般」の文字があれば、許可を得ている業者となります。
また派遣元責任者講習の受講が義務づけられています。

もう一つは特定労働者派遣事業で、
常時雇用の労働者のみを派遣する人材派遣事業者です。
これは一般派遣とは異なり、たとえ仕事がなくても派遣業者との雇用関係は持続し、
給料も支払われます。
こちらは届け出制となっており、許可番号の頭に「特」の文字が付いているかどうかで
確認することができます。

派遣事業主に対しての規定として定められているものに、
労働者の派遣を禁じられている業務があります。
・弁護士や公認会計士、司法書士、税理士、弁理士、社会保険労務士など
・建設作業現場で働く業務
・港湾運送業務
・警備にあたる業務
・医療関係の業務
・製造業務
の6つの業務ですが、このうち、医療関係については16年の改訂で一部が解禁されました。
製造業務についても一年間のみという制限付きで解禁されています。
これら以外の業務には労働者を派遣することができますが、
同一の業務については期間の上限が3年と決まっています。
これは派遣先が同じ業務を3年以上、正社員の代わりとして、派遣された人材で
まかなってはならないということで、
労働者個人や派遣元を替えればよいと言うわけではなく、
すくなくとも3ヶ月間の間をとらなければならない決まりとなっています。
ただし、定められた26の業務についてはこの限りではありません。
その26の業務とは、専門的知識を必要とする各職種で、具体的には
ソフトウエア開発、機械設計、放送器機の操作、放送番組などの演出、事務器機の操作、通訳、翻訳、速記業務、秘書、ファイリング、調査、財務処理、貿易取引文書作成、デモンストレーション、添乗、建築物清掃、建築物設備運転、点検、整備、案内、受付、駐車場管理など、研究開発、事業の実施体制企画、書籍などの制作、編集、広告デザイン、インテリアコーディネーター、アナウンサー、OAインストラクション、テレマーケティング、セールスエンジニアや金融商品の営業、放送番組制作の大道具、小道具 となっています。

そのほかに、労働者派遣業務の事業主に認められないこととしては、
特定の派遣先への派遣のみを行うことです。
これは特定の事業主が直接雇用を避けて、
働く人の労働条件を意図的に下げるための措置だとしか考えられないため、
認められません。

派遣元事業主として許可を与えられるためには
このような禁止事項を避けることは当然として、その他にも許可の基準が設けられています。
そのうちのいくつかを挙げてみると、労働保険、社会保険の適用を行うことや、
派遣労働者や登録者に対しての訓練、教育の体制が整っていること、
またその訓練や教育を派遣労働者に義務づけた場合は費用を取ってはならないこと、
派遣労働者の個人情報をしっかりと管理できることなどがあります。
派遣会社の中には「セミナーやトレーニングが豊富で充実しているのがウリです」と、
宣伝の要にしているところも多くありますが、
それは実は法で定められた義務だったというわけですね。
また、派遣会社への登録が無料であるのも法で定められたことです。
登録に際して手数料を取ることは禁じられています。
そのほかに、派遣事業主としの許可を得るためには、
資本金や資産、登録業務従事者数、事業所の大きさなどの
細かい規定も設けられています。


派遣で働く前に知っておきたいこと
派遣で働く際、知っておきたい法律というのはいくつかあります。例えば有給休暇などは
派遣だから充実していなくても仕方がない、と思われている場合もまだたまにあるようですが、
派遣であっても、派遣ではなくバイトやパートといった正社員以外の働き方であっても
労働基準法に沿って決められており、違反した場合は処罰されます。
有給休暇は6ヶ月以上継続して勤務し、すべての労働日のうち8割以上働いていれば
有給休暇を利用することができることになっています。また利用できる有給休暇の日数は
継続して勤務した期間に応じて下限が決められています。
ですからどこの派遣会社であろうと「有給休暇が充実している」というのは
アピールポイントでもなんでもなく、ごく当たり前のことなのです。
またもしひとつの派遣先で有給休暇を消化できずに契約が終了した場合、
同じ派遣元から次の派遣先で働き始めたときに、
2年以内であれば有給休暇を利用する権利はそのまま引き継がれます。

派遣社員として働く場合、派遣事業主にきちんと法律に沿った
働き方をさせてもらえるかどうかというチェックリストが
厚生労働省のホームページに用意されています。
内容としては、前述の、派遣として働くことが認められている職種かどうか、
雇用主である派遣会社は厚生労働大臣の許可なり届け出のあるきちんとした業者かどうか、
派遣先への事前の面接や、履歴書の提示がなかったかどうか、
就業の際の手続きはしっかりしていたかなど、
派遣会社の選定時から就業、就業中のトラブル、就業に至るまでの段階それぞれについての
法律に照らした項目がわかりやすく述べられています。
派遣で働こう、と思った場合はぜひ目を通しておきたいWebページの一つです。
「派遣労働者」として働くためのチェックリスト」(厚生労働省のホームページ)